真島爆ぜるSS



「私はナイフ」



真島クンを、拒絶した。

私は拓馬くんがいいんだと、

死ぬまで一緒にいたいんだと、

思い出した辛い記憶に混乱して、少しでも救いを求めようとしていた真島クンを、

これ以上ないくらいにハッキリと。

……ごめんなさい。

あなたが必死にショックに耐えてるのに気付かないふりをした。

触れようとして、けれど離れる手にも、困ったような笑顔にも、知らないふりで。

白々しい言葉を向けて、その場を逃げるように立ち去った。

……ごめんなさい。

でも、私は待つ辛さを知ってしまったから。

ここでまた気をもたせるようなことを言ったら、

彼は返事を待ち続けなくちゃいけなくなる。

私の気持ちは私の中で整理がついているのに、

傷付けたくないからって、傷付けた罪を背負いたくないからって、

ズルズル引き伸ばすなんてもうできない。

鋭い刃物の切り傷は、案外綺麗にくっつくらしい。だから。

私は残酷にあなたを傷付ける。

――せめて一番傷跡が残らない方法で。




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