モモまじSS※ネタバレ注意※



「ありがとう」



「……食べられてしまう……」

ボクの目の前で、強い彼女が怯えて震える。

傷付いた少年たち。敵の手中に落ちた少女たち。

「平らげてしまう…!!」

彼女の口から告げられる、恐ろしい事実。

―――けれど。

かった……。

“よかった”

この緊迫した状況で、痛々しい彼女を前にして、不謹慎なことを思ってしまう。

特別な生まれでもなく、力もなく、本当に普通な――

それでも、それゆえにボクにとっては特別なあの子が無事でよかった……と。

『当たり前だろう!』

……わ、ご先祖ちゃん!?

ボクの心に直接声が届いてきた。

『お前がのーのーと諸国漫遊の旅に出てる間、

お前が美樹ちゃんのことを思い出すたびにオイラに念が伝わってきたんだぞ。

お前がいない間、ずうっとオイラが守ってきたんだ!』

そうだったんだ……ごめん、わからなかったよ。

ボクの代わりに美樹ちゃんを守ってくれてありがとう、ご先祖ちゃん。

さっきも今も美樹ちゃんのそばで、彼女を守ってくれている彼に、素直に感謝する。

『今はとにかく、この闘いを切り抜けるんだ。

すべて終わって落ち着いたら、ちゃんとお前の手で守ってやるんだぞ…!』

……うん、わかったよご先祖ちゃん。

今は、美樹ちゃんを頼んだからね――。





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